正岡子規が愛し、夏目漱石も食した伊予の「松山鮓(まつやまずし)」

2010/3/2

●伊予のお寿司といえば…

私が子どもの頃、お寿司といえば「はんぼう(寿司桶)」に入った具だくさんのバラ寿司でした。それが「松山鮓」とよばれる愛媛独特のお寿司と知ったのは、大人になってからのことです。

お祭りの日や家族の誕生日といったハレの日に、おばあちゃんや母が、さあ今日はお寿司をつける(作る)、という時。子どもだった私が「はんぼう」に移された炊き立てのご飯を年季の入った大きな団扇であおいだことを思い出します。大きなしゃもじに寿司酢をつたわせてご飯を切るように混ぜていく様を見つめながら、寿司桶いっぱいに立ち上がる蒸気とお酢の香りが鼻腔をくすぐり「今日が特別な日である」ことを実感したものです。

●どんなお寿司?

松山鮓の特徴は、瀬戸の小魚(エソやトラハゼなど)を焼いてほぐした身を酢にかました甘めの合わせ酢(「にごり酢」という)で寿司飯をつくり、刻んだアナゴや季節の野菜をもぶす(混ぜ込む)ことにあります。お寿司の上には錦糸卵や瀬戸の魚介を見た目もきれいに飾り付けます。季節によって具も変わります。
「もぶり鮓」とは「松山鮓」の別名ですが、具が多彩に混じっている様を意味しています。丁寧に「おもぶり鮓」とも云われます。

●正岡子規の好物だった「松山鮓」

小説『坂の上の雲』にも登場する松山出身の俳人・正岡子規は食いしん坊だったと伝わります。有名な句では、
「柿食えば 鐘が鳴るなり 法隆寺」
というように食べ物に関する句もたくさん詠んでいます。
子規の句碑は市内に数多く建てられていますが、松山市三津の水産市場の入口には、この「松山鮓」を詠った句碑(写真左・クリックで拡大可)が建っています。その句とは…

「われに法あり 君をもてなす もぶり鮓」
※子規は「松山鮓」が好物で、明治25年に親友の夏目漱石が子規の家を訪ねた時も子規の母・八重がつくってくれた「松山鮓」でもてなしたという話があります。
「ふるさとや 親すこやかに 鮓の味」
「われ愛す わが豫州 松山の鮓」

ちなみに、松山市道後公園にある「松山市立子規記念博物館」では、子規に関する資料を展示。その中で、子規と食べ物に関する映像も見ることが出来ます。

●道後で松山鮓の無料配布

2月27日に道後温泉駅前カラクリ時計横の放生園で、水産市場と三津浜婦人会の方が瀬戸の魚と子規がふるさとの味として愛した味を知ってもらおうと観光客に「松山鮓」を配布して大賑わいでした(写真右・クリックで拡大可)。
お鮓には、酢〆の青魚・穴子・エビ・煮含めたしいたけや錦糸卵などが彩りよくトッピングされていて、食べてみると甘酢のふんわりやさしい味で幸せな気持ちに包まれました。
次回配布は3月27日(土)11:35~の予定です。100食限定ですのでお早めに!瀬戸の小魚に関する情報は下記のURLをご参照ください。
「松山鮓」は、市内のお店や駅弁でも味わうことができます。

「松山鮓」の詳しいつくり方は、当社ホームページでUPする予定です。子規や漱石が楽しんだ「お袋の味」に思いをはせてみませんか?お楽しみに。


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