伯方塩業株式会社

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塩に関する疑問

塩にも味の違いはあるの?

人に個性があるように、塩にも個性があります。原料による違いもありますが、同じ原料を使っていても、つくり方(濃い塩水のつくり方、煮詰める温度や時間、結晶のつくり方、乾燥方法など)によって塩の成分や結晶の形が変わってきます。
塩の味は、ナトリウムや水分、にがりの量などが決め手になります。商品に記載されている「栄養成分表示」を見ることで塩味の特徴を知ることができます。【食塩相当量】は塩辛さ、にがりの主成分である【マグネシウム】は苦み、【カリウム】【カルシウム】は酸味やエグミというようにそれぞれの数値が高いほど、その味を強く感じます。
また、塩を直接つけて食べたりトッピングに使う場合は、結晶の形や大きさが溶け方を左右するため、塩味の感じ方が異なります。粒が細かな塩は、舌の上でサッと溶けるため塩辛く、粒が大きいまたは結晶が硬く溶けにくい塩は、舌の上でゆっくり溶けるため塩味を穏やかに感じます。
結晶の形や商品パッケージの「栄養成分表示」「製造方法」は、塩の味を知る重要な手がかりです。ぜひ、自分好みの塩を探してみてください。

見た目は同じサラサラの塩だけど、つくり方に違いはあるの?

お店では、袋や容器に入ったサラサラした塩が数多く販売されています。見た目は同じように見えますが、各社が様々な工夫を凝らしてつくっています。
≪一例≫
・にがりをほとんど含まない塩を乾燥させて水分を極力減らした塩
・にがりを含む塩を焼いてサラサラにした焼塩
・サラサラを保つために食品添加物を入れた塩
それぞれの塩のつくり方は、商品パッケージの「製造方法」を見ればわかります。
固結防止剤の「炭酸マグネシウム」や「炭酸カルシウム」以外にも、うま味調味料の「グルタミン酸ナトリウム」、にがりの「粗製海水塩化マグネシウム」を加えたものなど、塩にも意外と様々な食品添加物が使われています。

“にがり”が多いほど良い塩?

一般的に、海水または塩湖水から塩を取り出した後の液体のことを“にがり(苦汁)”と言います。マグネシウムを主体とする液体で文字通り、苦みの強いものです。そのため“にがり”が多すぎる塩は苦く、少なすぎると尖った塩味となります。
昔の塩は“にがり”が多く苦みが強かったため各家庭で“にがり”の量を調整してから使っていました。当社では、1953~1971年に流下式枝条架併用塩田を利用してつくられていた塩を理想として、“にがり”をほどよく残した塩をつくっています。
 ※ 塩の業界では、マグネシウムが0.1%以上含まれているものを“にがり”を含む塩としています。

国産の塩の方が、品質が良い?

農作物は、気候条件によって品質に差が出ますが、塩は金や銀、ダイヤモンドなどと同じ鉱物(無機物)ですから産地による品質の差はほとんどありません。むしろ、つくり手の塩に対する想いが品質を左右すると私たちは考えています。
当社では「出来るだけ自然な方法で製造する」をモットーとして、安心して食べていただけるように固結防止剤・うま味調味料などの食品添加物はもちろん、機械の洗浄にも洗剤を使用せずに塩つくりを行っています。

塩ってホントに悪者なの?

塩分摂取量と高血圧の関係は、食塩感受性の違いなど体質による場合もあるため専門家の間でも意見が分かれています。厚生労働省では、1日の塩分摂取量の目標値を画一的に定めていますが、必要な摂取量は体質や運動量、生活環境の他、夏場は汗をかくため塩分を多めに摂取するなど、季節によっても変わってきます。
お医者様から塩分摂取を制限されている方でなければ、塩分を摂り過ぎたと思えば「野菜や果物などのカリウムを多く含む食材を食べる」「運動量を増やす」など、生活習慣全体で調整することができます。塩分を控えすぎると体への不調が出ることもあります。塩に限らず、摂りすぎも控えすぎも良くありません。減塩も含めた、人それぞれに合った「適塩」を当社ではおすすめします。何事も「いい塩梅」が大切です。

「岩塩」はミネラル豊富って本当なの?

ミネラル豊富という表現は、塩には適していません。塩の主成分は「塩化ナトリウム」ですので、ミネラルの一種である「ナトリウム」を多く含んでいます。ミネラル豊富というミネラルが何を示しているのか分かりませんが、成分で言うとすべての塩がミネラル豊富ということになります。そもそも「豊富」というのは何と比較して豊富なのでしょうか?ミネラルは、私たちの体にとって重要な役割を持つ五大栄養素のひとつで生きていく上で欠かせないものです。そのため、「ミネラル豊富」と書かれていると健康や美容に効果があるようにイメージさせてしまいます。しかし、塩に含まれるナトリウム以外のミネラルの量は少なく、また人によって多い少ないの判断基準が曖昧なため、塩については「ミネラル豊富」という表現は禁止されています。
海水を煮詰めていくと「硫酸カルシウム」→「塩化ナトリウム」→「塩化カリウム」・「塩化マグネシウム」の順番で結晶していきます。これは、永い年月をかけて結晶する岩塩でも同じです。通常、岩塩を採掘する場合には塩化ナトリウム層の部分を掘り出すため、ナトリウム純度が高くなります。しかし、結晶する段階で土壌に含まれる不純物などを取り込んでいる場合も多いため、商品によって「塩化ナトリウム(食塩相当量)」の量に差があります。その商品にどのような成分がどのくらい含まれているかを知るには、パッケージの「栄養成分表示」から読み取ることができます。また「製造方法」を見ることで、その成分が塩由来のものか食品添加物由来のものかを見分けるヒントとなります。
塩に関する表示ルールについては「食用塩公正取引協議会」ホームページの【お塩のお役立ちWEB】でも分かりやすく紹介されています。

「低ナトリウム塩」って何ですか?

「低ナトリウム塩」とは、塩(塩化ナトリウム)以外の塩類(塩化カリウム、硫酸マグネシウムなど)が25%以上含まれた塩です。
※ 50%以上の場合は「減塩」という表現も使用できます。
一般的には、塩の量を減らし、塩化カリウムの量を増やすことで塩味を補っています。そのため、塩味をつける以外の効果が低くなっており、漬物をつくる場合には漬かりにくい、保存性が低くなるなど、使い方によっては適さない場合があります。
また、カリウムの量を増やしているため、腎臓に疾患のある方などは注意が必要です。
※ 塩化ナトリウムの25%以上を塩化カリウムに代替した食用塩は、医師の指示の下に使用する旨の注意書きが書かれます。
「低ナトリウム塩」や減塩商品を使わなくても「出汁を効かす」「酸味や香りをプラスする」「香辛料を上手に使う」など、少しの工夫で物足りなさを感じることなく塩分量を調整することができます。自分なりの適塩を心掛けましょう!

「自然塩」とはどんな塩?

「自然塩」という言葉は1970年に自然塩(塩田塩)の存続を願って運動を始めた頃に使ったのが初めです。それ以前は、おそらく使われていなかったと思います。なぜなら日本の塩のほとんどが塩田でつくられた塩だったからです。
1971年に成立した「塩業近代化臨時措置法」により、農耕的な製法の塩から化学工業的な製法の塩に切り替わりました。この製法が、それまでとかけ離れていたため、従来の塩田で濃い塩水をつくり煮詰めてつくる塩を「自然塩」、イオン交換膜製塩の塩を「化学塩」と呼び区別をしていました。
※ その当時、農業や食物においても「自然農法」「自然食」といった言葉が使われていたため「自然塩」という表現としました。
1997年に塩の専売制が廃止され、様々な塩が輸入・販売されるようになると、消費者を惑わすような表現の商品が数多くでてきました。そこで表示の適正化のため塩業界の表示ルールが定められました。
「自然塩」という言葉に定義はなく、自然という内容がはっきりしていません。「自然塩」という言葉は、場合によっては根拠がないのに健康に良いといった優良誤認を与えかねないことから「天然塩」と同じく使用できないワードとなっています。
塩を装飾する言葉もその環境や時代背景によって変化しています。表示ルールは、商品だけでなく、広告やホームページなども対象となっています。当社では、お客様に正しい情報をお届けできるよう、これからも努めて参ります。